インプラント治療とは、歯根そのものがない箇所に人工的な歯根と歯を埋め込む外科手術のことです。歯を埋め込む骨について熟知し、複雑さと繊細さを備えた技術が必要なため、時間と手間をかけての治療が大切です。
インプラント治療を受ける前に、インプラント治療の流れについて予習しておきましょう。
インプラント治療のスタートは、他の治療と同様にカウンセリングから始まります。
カウンセリングで確認される点は、本当にインプラント治療が必要なのかどうか、インプラント治療を実際に行うのであれば、どんなインプラント体やインプラント手術を行っていくのか…という点。インプラント手術をスムーズに進めるため、治療の計画立てを入念に行います。
カウンセリングは理想通りのインプラント治療を安全に行うためにも、決して欠かせないステップです。
カウンセリングで治療の方針がある程度定まったら、本格的に治療に向けて事前検査をしていきます。治療を受ける本人が自分で気づかないような病状や体質もあるので、綿密な検査をして治療の安全性を確かめる必要があるのです。
丁寧に検査をしたら治療計画を立てて、本格的にインプラント治療を始めていきます。インプラントを埋め込む手術は、基本的に2回に分けて行います。1回目で顎の骨にインプラント体を埋め込み、2回目でインプラント体と人工の歯をくっつけて、インプラント治療完成となります。
インプラント手術は即日1度で終わらせられる一回法もありますが、2回法とどちらもメリットやデメリットがあります。どちらにせよインプラント手術が安全に成功させられるかどうかは、事前に行ったカウンセリングや検査の内容に深く関わっています。
インプラント治療を行った後は、インプラント体をできるだけ長く使い続けていくためにメンテナンスを行います。メンテナンスは定期的に行う必要があり、歯科クリニックでもメンテナンス期間が保証されていることは多いです。
インプラント治療の後はインプラントが顎や周りの歯に馴染んでいるかをチェックしておかないと、インプラント周辺が病気を発症してしまうこともあります。せっかくの治療が台無しになったり、かえって大きなリスクを抱えてしまったりといった失敗を防ぐためにも、治療後のメンテナンスは不可欠です。
インプラント治療を行えば、入れる前に抱えていた悩みはある程度解消されることになるでしょう。
しかし、インプラントにもリスクは存在します。むやみにインプラント治療を行う前に、インプラント治療を行うべきなのかどうかを、いくつかのポイントで考える必要があります。
インプラント治療は物理的に埋め込むため、予想していた結果を得られやすい治療方法ですが、本当に治療が必要かどうかは口の中の状況によって変わります。
例えば同じように歯を失った場合でも、歯根がまだ残っている場合は人工の差し歯で対応可能です。また、失った歯の両隣に残っている健康な歯がある場合は、両隣の歯を使って失った歯を補う「ブリッジ」と呼ばれる治療方法も存在します。
歯の治療方法はたくさんありますから、その中から本当にインプラント治療を選ばなくてはならないのかは、歯科医とのカウンセリングや事前検査をしなければ分かりません。
インプラント体を顎の骨に埋め込むインプラント手術には、決して少ないとは言えないコストと時間がかかります。手術の後はインプラントが理由で起きる病気のリスクだってなくはありませんから、むやみにインプラント治療を選ぶべきとは言えないのです。
インプラント治療を選ぶ前に、本当にインプラントでなければいけないのかインプラント以外にも歯の治療ができる方法がないのか、よく考えておきましょう。
インプラントの手術は大がかりな外科手術となります。そのため糖尿病といった身体への不調を抱えている場合は、残念ながら手術が難しくなるケースも考慮しましょう。病気を患っている人は、インプラント治療の前に病気について歯科医や主治医に相談しておくのがベストです。
歯を失っている以外にも口の中に歯周病や虫歯などを抱えている場合にも、インプラント手術が難しくなる可能性があります。インプラント治療を行う前に、まずは歯周病や虫歯の治療を先に行わなくてはならないと歯科医から提案されることも考えておきましょう。
インプラント手術を安全に完了させるためには、手術の妨げになるかもしれない不安な点をできるだけ取り除いておく必要があります。「すぐにインプラント手術を行いたい」と思っている人ほど、体調が万全かどうかをよく注意しておきましょう。
インプラント治療を行うクリニックの設備や、在籍しているドクターの技術力にも要注意。理想は設備の整えたクリニックで、数多くの症例をこなしてきたベテランドクターに治療してもらうこと。また、使用するインプラントや料金についても注意してください。相場から見て、あまりに格安料金で設定されている場合、料金だけで決めてしまうのは危険です。
事前にクリニックのHPをチェックして、設備の新しさや症例数についてもチェックしておきましょう。信頼できるドクターやクリニックの元で治療してもらうだけで、インプラントの成功率や術後に長持ちするようになり、リスクは格段に低減します。
インプラント治療の実際の流れや順序、各段階で行うことについてチェックしていきます。
初めてクリニックでインプラント治療の相談をしたときに行います。口の中はどんな状況なのか、体質や病状はどうなのか、どうしてインプラント治療を望んでいるのかなど、細かなところまで医師と相談します。
患者のライフスタイルや性格なども、インプラント治療を成功させる上で重要な要素となる内容。治療計画から細かな日常生活の相談まで、丁寧なカウンセリングをすることでインプラント治療の計画を確実なものへと変えていきます。
実際にインプラント治療ができるのかどうか、できる場合はどのような順序インプラント治療を行っていくのかを、医師と相談しながら丁寧に計画していきます。
骨密度や歯の状態を詳しく見て、インプラント体を埋め込むときの算段を立てます。事前検査の際には、歯科クリニック以外の病院で設備を借りることも。
もしもインプラント手術の妨げになる病気があったら、まずはそれを改善していくことも、この段階に含まれています。
計画通りにインプラントを顎の骨に埋め込む手術を行います。まずは「フィクスチャー」と呼ばれる部品を顎の骨に埋め込んでから、人工の歯を支えるために必要な「アバットメント」を連結し、最後に人工歯を装着…といった流れ。フィクスチャーを埋め込んでからアバットメントを連結するまでには、骨とインプラントが結合されるまでの治癒期間を設けることもあります。治癒期間は個人差にもよりますが、大体3~6か月程度が目安です。
無事にインプラントを埋入して人工歯を取りつけた後は、定期的にクリニックを訪れてメンテナンスを行います。
ホームケアの方法をレクチャーしてもらう他、医師が直接インプラントの状態を見て、必要ならメンテナンスを行います。メンテナンスをしっかり行わないとインプラントの劣化が早まり、インプラント周囲炎など病気のリスクも高まるので要注意。定期的なメンテナンスは欠かさずに受けるようにしましょう。